成年後見(高齢者) 実績例
認知症の方の相談
岡崎市のお客様(妻)は、高齢のご主人が認知症になり施設に入所されていました。夫婦で養子縁組をした女性がいましたが、仲が悪く、家を出て疎遠になっていました。お客様も少し認知症の気配があり、日頃、親子のような関係にある知人夫婦が、お客様の面倒をみていました。知人夫婦の奥様は、ある介護施設に勤務されている関係で牧野弁護士のことを知っており、お客様について任意後見契約などのご相談に来所されました。
公証役場で任意後見契約を締結するときは、元気なときの委任契約もセットで締結されます。任意後見契約+委任契約を公正証書で作成し、これにより、お客様の銀行の預け入れ・払い戻しなどを、知人夫婦が代理人として行うことができるようになり、不便が減りました。
また、ご主人には兄弟がいましたので、お客様に遺言書の作成(全財産を妻に相続させる)を勧めました。遺言書がないと、ご主人の兄弟も法定相続人となり、妻が4分の3、兄弟が4分の1の法定相続分を持ち、遺産分割協議をしなければなりません。しかし、遺言書を作成すれば、遺産分割協議が不要となり、しかも、兄弟には遺留分がありませんので、遺言書だけで簡単に相続手続を済ませることができます。
認知症にかかっていると、一般に公正証書遺言の作成ができないと思われているかもしれません。しかし、認知症の程度にもよりますが、遺言書の内容を簡単にすることで、公正証書遺言の作成ができることがあります。このご主人の場合も、公証人に当日のご主人の判断能力を十分に確認していただき、公正証書遺言を作成することができました。
その後、ご主人については、家庭裁判所に成年後見の申し立てをしました。その際に問題になったのが、知人夫婦の夫が成年後見人になれるか、ということです。家庭裁判所の現状の運用ですと、本人に相当の財産がある場合は、親族が成年後見人になることは困難です。知人夫婦の夫は親族でもないので、よりハードルが高くなります。
この点については、牧野弁護士が後見監督人となり、知人夫婦の夫を指導監督することで認めてもらうことができました。
最後に、夫婦で養子縁組をした女性の問題が残りました。ご主人の公正証書遺言を作成できましたが、養子は法定相続人であり、かつ遺言について遺留分(4分の1)があります。
私が代理人となり、女性あてに離縁を勧める手紙とともに、離縁届を同封して郵送しました。女性にも、養親夫婦とのことで考えていることがあったのだと思いますが、少し時間を置いて、署名した離縁届が養親あての手紙と一緒に返送されてきました。その後、知人夫婦が証人となって離縁届を市役所に提出し、離縁ができました。
半年ほどの時間を要しましたが、知人夫婦が、高齢のご夫婦の面倒を見る上でかかえていた問題を、全て解決することができました。
2018/07/01
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